薪ストーブの熱を活かした、”ちょっと意外な”レシピを5つ紹介
冬の暮らしに欠かせない薪ストーブ。しかし、その魅力は部屋を暖めるだけではありません。
薪ストーブは、炎の特性を最大限に活かせる最高の調理器具!
炎の勢いを利用した高温調理から、じっくり時間をかける低温調理まで、薪ストーブの熱を使いこなせば、毎日の食事から特別なデザートまで、食卓は格段に豊かになります。
今回は、薪ストーブの「天板」「炉内」「余熱」という異なる熱源を使い分けた、”ちょっと意外な”5つの活用レシピをご紹介します。

薪ストーブは多機能キッチン!
薪ストーブで調理を成功させるには、熱源を理解することが鍵です。
■ストーブトップ(天板)
安定した中火~弱火が得られ、煮込みや保温、そして繊細な焼き物(パンケーキなど)に最適です。
■炉内(熾火)
熾火(おきび)の超高温の輻射熱を使い、短時間で調理したり、灰の中でじっくり火を通したりします。
■余熱(ウォーミングシェルフなど)
火が消えた後の微熱や、上昇気流の熱を使い、長時間乾燥や保温に利用します。
調理を成功させるための「温度管理」TIPS
薪ストーブ料理は、火加減のコントロール、つまり薪のくべ方と空気調整が命です。
| 炎の状態 | 薪のくべ方・空気調整 | 主な定番調理 /今回のレシピ |
| 強火(高温) | 細めの薪を追加し、空気ダンパーは全開に近い状態 | ピザ、ローストチキン / ガーリックトースト |
| 中火(安定) | 燃焼が落ち着き、熾火と穏やかな炎がある状態 | シチュー、煮込み料理 / 白飯(沸騰まで)、パンケーキ |
| 弱火(微熱) | 薪の追加を止め、熾火になったら空気ダンパーを絞る | スープ保温、焼き芋 / 白飯(蒸らし)、ニンニク焼き、ドライフルーツ |
熱伝導率が高く、熱が冷めにくい鋳鉄(ちゅうてつ)製(ダッチオーブン、スキレット)は、薪ストーブの熱を最大限に活かせる理想的な調理器具です。
ストーブトップの安定した「中火~弱火」で仕上げる料理
薪ストーブの天板(トッププレート)は、温度が安定しており、均一な熱が長時間続くため、繊細な火加減を要する調理に向いています。
例えば、ビーフシチューやポトフのような長時間煮込む料理や、カレーやスープの保温なども、天板調理の定番です。安定した熱でじっくり火を通すため、食材の旨味が最大限に引き出されます。
じつは天板の安定した熱は、煮込み料理だけでなく、デリケートな火加減が重要な主食作りにも最適。薪ストーブを使えば、まるでかまどで炊いたような、最高の白飯も炊けるんですよ!

【レシピ1】究極の主食!薪ストーブで炊く「白飯(白米)」
薪ストーブの安定した輻射熱は、米一粒一粒に均一に熱を伝え、まるでかまどで炊いたような、ツヤツヤで甘みのあるご飯を炊き上げます。
≪材料 分量≫
米(白米) 2合
水 400ml(米の1.1倍〜1.2倍)
≪作り方≫
- 米は研いで30分ほど水に浸した後、ザルにあげて水気を切る。
- 鋳鉄製または厚手の蓋付き鍋に、米と分量の水を入れ、蓋をする。
- 鍋を天板の中火(強め)の位置に乗せ、約10分で沸騰させる。
- 沸騰して蒸気が出始めたら、すぐに鍋を天板の弱火の位置(ストーブの端など)にずらし、約10〜15分炊き続ける。
- 火からおろし、蓋をしたまま10分間蒸らして完成。
≪ポイント≫
沸騰したらすぐに弱火エリアへ移動し、ムラなく火を通すのが、ツヤツヤのご飯を炊く最大のコツです。
【レシピ2】朝食の定番!鋳鉄スキレットで作る「パンケーキ」
ガスコンロのような直火ではなく、安定した輻射熱でじっくり火を通すため、表面が均一にきつね色に焼き上がり、中はフワフワ、しっとりとしたパンケーキが作れます。
≪材料 分量≫
ホットケーキミックス 150g
卵 1個
牛乳 100ml
バター(焼く用) 適量
≪作り方≫
- 材料を混ぜ合わせる。
- 鋳鉄製のスキレットを天板の中火に乗せ、バターを溶かし温める。
- 生地を流し込み、蓋はせず、薪の燃焼が落ち着いた安定した熱でじっくり焼く。
- 表面にプツプツと泡が出てきたら裏返し、焼き色がつくまで焼いて完成。
≪ポイント≫
焦げ付きやすい場合は、天板の端など熱が弱い位置にスキレットをずらし、低温で焼き上げると失敗しにくいです。
炉内は超高温!灰が持つ遠赤外線効果も
炉内は、薪ストーブ調理の真骨頂とも言える場所です。赤熱した熾火(おきび)が発する超高温の輻射熱と、火が落ち着いた後の灰が持つ遠赤外線効果は、他の調理器具では真似できないダイナミックな美味しさを生み出します。
熾火の強力な熱で短時間でカリッと焼き上げる本格的なピザや、熱々の灰の中でじっくりと甘みを引き出す焼き芋は、薪ストーブオーナーなら誰もが憧れる「王道」のご馳走でしょう。
しかし、炉内の持つポテンシャルはそれだけにとどまりません。ここからは、定番から少し視点を変えた、炉内(熾火と灰)の”ちょっと意外な”活用レシピをご紹介します。

【レシピ3】おつまみに最高!灰の中の「ニンニク丸焼き」
熾火から離れた灰の中は、サツマイモやジャガイモだけでなく、ニンニクの調理にも最適です。長時間じっくり加熱することで、ニンニクの辛味が抜け、ねっとり甘いホクホク食感に変わります。
≪材料 分量≫
ニンニク(丸ごと) 2〜3個
オリーブオイル、塩 少々
アルミホイル 適量
≪作り方≫
- ニンニクの頭を少し切り落とし、オイルと塩を少々振る。
- アルミホイルで全体をしっかりと包み込む。
- 炉内の熾火から遠い灰の中に埋めるか、熾火から離れた場所に置き、約40分〜1時間加熱する。
- 柔らかくなったら取り出し、スプーンなどで中身をすくって食べる。
≪ポイント≫
灰の遠赤外線効果で中心まで甘く仕上がります。調理中は、火力が弱まり安定した状態がベストです。
【レシピ4】炉内活用!香ばしい「ガーリックトースト」
トースターで焼くのとは一味違う、熾火の強い熱でパンを一気に炙ることで、薪の香りがほのかに移った格別のガーリックトーストが完成します。
≪材料 分量≫
食パン(厚切りがおすすめ) 2枚
バター、ニンニク(すりおろし) 各大さじ1
パセリ、塩 少々
≪作り方≫
- バター、ニンニク、パセリ、塩を混ぜ合わせてガーリックバターを作る。
- 食パンの片面にガーリックバターを塗る。
- 熾火の上に鋳鉄製のグリル網またはスキレットをセットする。
- 熾火の強い熱を活かし、バターを塗った面を下にして、30秒〜1分程度で一気に焼き上げる。
- 表面がカリッと香ばしくなったらすぐに取り出す。
≪ポイント≫
熾火の熱は非常に強いため、一瞬で焦げ付きます。必ず目を離さず、短時間で仕上げましょう。
余熱を活用した「乾燥」
火が消えた後もしばらく続く炉内の微熱や、ストーブ周辺の上昇気流。これら「余熱」も立派な調理エネルギーです。
高温での加熱とは異なり、食材の水分をゆっくりと飛ばす「乾燥」に適しているのが特徴です。電力を使わずに、自然の力だけで旨味を凝縮させる、エコで賢い活用法です。

【レシピ5】電力不使用!余熱を活用「自家製ドライフルーツ」
薪ストーブの利用後の微熱と乾燥した空気は、食材の乾燥に最適です。電力を使わずに、甘みが凝縮されたヘルシーなドライフルーツが作れます。
≪材料 分量≫
リンゴ、柿、柑橘類など 適量
≪作り方≫
- 果物を薄くスライスし、キッチンペーパーなどで水分を軽く拭き取る。
- 網やトレイに重ならないように並べる。
- 天板の上のウォーミングシェルフ、または天板の上部で火が直接当たらない場所に、数時間から一晩放置する。
- 果物の水分が抜け、しんなりしたら完成。
≪ポイント≫
天板の温度が上がりすぎないよう注意し、低温(50℃〜80℃程度)でじっくりと乾燥させることが、甘みを凝縮させる秘訣です。
まとめ
薪ストーブは、単に部屋を暖めるだけではなく、暮らしに「食の楽しみ」と「豊かな時間」を与えてくれる万能調理器具です。
今回ご紹介した「白飯」や「ドライフルーツ」のように、一見意外な調理法も、薪ストーブの熱の特性を理解すれば簡単に挑戦できます。
ぜひこれらのレシピを参考に、炎のある暮らしを最大限に楽しんでみてくださいね。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。
