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高気密住宅で薪ストーブを使うための「負圧」対策

近年、高気密高断熱住宅が増えています。そんな高性能な家で、ゆらめく炎を眺めながら過ごす薪ストーブのある暮らしは憧れですよね。

しかし、快適さを追求した「高気密」という性能が、薪ストーブの安全性を脅かす隠れた落とし穴になることがあります。

その原因は、住宅の隙間の少なさから生じる「負圧(ふあつ)」です。

今回は、高気密高断熱住宅で薪ストーブを、安全かつ快適に楽しむためのポイントを解説します。



負圧とは


負圧とは、建物の室内(内部)の空気圧が、屋外(外部)の空気圧よりも低い状態を指す建築用語です。

空気には「圧力が高い方から低い方へ流れる」という性質があるため、外気が建物の隙間や給気口から室内へ向かって引き込まれようとする力が発生します。

高気密高断熱な住宅では、薪ストーブの煙が逆流してしないように対策が不可欠です。


外気導入型薪ストーブの採用


薪ストーブの機種選びが、高気密住宅での成否を分けます。

燃焼に必要な空気を、室内の空気からではなく、直接屋外から取り込む専用の給気口を持つ「外気導入型(密閉型)」のストーブを選定してください。

この方式により、キッチンや浴室の換気扇など、排気能力の強い設備を使用した際に室内に「負圧」が発生しても、ストーブが室内の空気を消費しないため、煙突からの煙の逆流を防ぐことができます。

設置の際は、ストーブの吸気口と、屋外を接続する給気ダクトを確保することが重要です。


換気システムの調整と注意


高気密住宅に義務付けられている24時間換気システムや、特に排気量の多いレンジフードは、室内の気圧を外気より低くする「負圧」の最大の原因となります。

薪ストーブの着火時や使用中は、極力、排気能力の強いレンジフードの使用を控えましょう。

もし頻繁に使用する必要がある場合は、室内の空気を取り込むのではなく、屋外から給気と同時に排気を行う「同時給排気型」のレンジフードの導入を検討してください。

また、24時間換気システム(特に排気のみの第三種換気)についても、薪ストーブの運転状況に応じて一時的に運転を調整するなど、工務店や設置業者と連携し、適切な運用方法を確認することが不可欠です。


一酸化炭素チェッカーで二重の安全対策


万が一、換気や排気経路に問題が生じ、有害な煙や排気が室内に漏れてしまった場合、気密性の高い住宅ではその物質が室外へ逃げにくいため、危険度が高くなります。

そのため、安全対策として「一酸化炭素チェッカー」の設置は必須。

薪ストーブのすぐ近くはもちろん、寝室など離れた場所にも複数台設置し、信頼性の高い、精度の確かな製品を選ぶようにしてください。



まとめ


高気密高断熱住宅に薪ストーブを設置する場合、最も大切なのは「家全体を負圧にしない設計」と「ストーブ本体の気密性」です。

夢の薪ストーブライフを実現するためには、建築計画の初期段階から、これらの専門的な知識と対策を講じましょう。

すでに建築済みの住宅に後付けで設置する場合は、外気導入経路や換気バランスの確保に制約が生じやすいため、必ず専門業者による現地調査と安全確認を行うことが重要です。

必ず高気密住宅での実績と知識を持つ専門の業者や工務店に相談し、外気導入の設計や換気システムとの連携について、綿密な打ち合わせを行ってください。

安全な設計と適切な運用によって、薪ストーブは高気密高断熱住宅の快適性をさらに高めてくれる、最高の暖房器具となるでしょう。


この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。

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