ペットと快適に薪ストーブを楽しむために
薪ストーブの暖かさは、ペットにとっても格別なものです。
しかし、炎や高温の本体がすぐそばにあるため、思わぬ事故が起きる可能性も。
今回は、愛するペットを守るために、飼い主さんが特に気をつけたいポイントを解説します。

安全な距離の確保が最重要
薪ストーブの表面は、稼働中にはかなり高温になります。
好奇心旺盛なペットが近づいてしまうと、やけどの危険があるため、本体との間にしっかり距離をとる工夫が欠かせません。ペットがいる場合は特に徹底が必要です。
■安全柵
最も効果的なのは、安全柵(チャイルドフェンスやストーブガード)を設置することです。
金属製や木製などさまざまなタイプがありますが、できるだけ熱くなりにくい素材がおすすめ。
また、ペットが飛び越えたり鼻先を突っ込んだりできない高さ・構造のものを選びましょう。
フェンスは、ペットが手を伸ばしてもストーブに触れない十分な距離(最低でも30cm以上)を確保してください。
特に子犬や子猫は体温調節が未熟で、暖かい場所に寄っていきがちです。事故が起きる前に、安全ゾーンを作っておくことが重要です。
■逃げ道の確保
ストーブ周りに安全柵を設けて本体に近づけないようにしても、たとえば薪が爆ぜる音によって、ペットがパニックになることがあります。
ペットが逃げる際につまずいたり挟まれたりしないよう、周囲の家具配置にも配慮しましょう。
■お気に入りスペース
ペットが心地よく過ごせる工夫をしてあげると、薪ストーブのある暮らしはもっと快適になります。
たとえば、ストーブから1~2mほど離れた位置にベッドやマットを置くと、ペットが自然と「ここが自分の居場所」と認識し、ペットにとってお気に入りのスペースに。
火のぬくもりを感じながら安心できる場所があると、やけどのリスクも下がり、ペットにとっても居心地の良い空間になるでしょう。

ペットの習性に合わせて配慮
ペットの種類や性格によって、薪ストーブ周りで注意すべき行動が異なります。
■犬
炎に興奮して吠えたり、動き回ったり、尻尾を振って物にぶつけたりすることもあります。フェンスで物理的に距離を取るだけでなく、興奮しやすい子は、別の場所で遊ばせてからストーブに近づけるなどしましょう。
■猫
ストーブの上に飛び乗ろうとしたり、高温の炉台や天板で寝ようとしたりする可能性も。物理的なフェンスに加え、棚や高い足場からストーブに飛び移れない配置にしましょう。炉台に登れないように、あえて物を置くなどの工夫も有効です。
■小動物
小動物はストーブの熱気や乾燥の影響を受けやすいため、ケージをストーブから離れた場所に設置しましょう。
誤食に注意
ストーブ周りには、どうしても薪のかけら・灰・樹皮などの細かいくずが落ちがちです。犬や猫がそれらを口にしてしまうと、消化器のトラブルにつながる恐れがあります。
・薪を室内に置く際は専用ラックに収納する
・灰を捨てる際は密閉容器を使用し、すぐ処分する
・掃除をこまめに行い、床にくずを残さない
などといった基本を徹底することが大切です。
火の粉が残る可能性があるため、必ず金属製の密閉容器で管理し、ペットの手の届かない場所に保管してください。
煙と空気の管理
薪ストーブは正しく使えば安全ですが、燃焼が不完全な場合や換気が不十分な場合、一酸化炭素が発生するリスクがあります。体重の軽いペットは、人間よりも早く影響を受けてしまうことも。
ストーブを焚く際は、必ず適切なタイミングで換気を行いましょう。一酸化炭素警報器を、ペットの目線に近い低い位置に設置することも大切です。
また、乾燥しがちな室内環境もペットの皮膚や呼吸器に影響を与える場合があります。天板にケトルを置いたり、加湿器を併用したりして湿度を適度に保つことが大切です。
万が一に備えた「しつけ」の重要性
フェンスを乗り越える、いたずらをするなど、予測できない事態に備えて、しつけを行うことも飼い主の義務です。
■熱いものを理解させる
ストーブを焚く前に、「危ない」「ダメ」などのコマンド(指示)を教え、ストーブ周辺は立ち入り禁止エリアであることを徹底して理解させます。
■炎を落ち着いて見させる
炎に興味を持つことは自然ですが、落ち着いて見られるよう慣れさせることも大切です。静かに座っているときは褒めるなど、良い行動を強化しましょう。
特に初めて薪ストーブを使うときは、ペットもいつもと違う空気や音、においに敏感に反応します。最初の数回は、必ず一緒に様子を見守ることが大切です。

まとめ
薪ストーブは、ペットとの暮らしをよりあたたかく、豊かにしてくれる存在です。しかし、やけどや誤食、空気環境などに注意を払わなければ、思わぬトラブルを招くこともあります。
少しの手間を惜しまず、安全対策を行うことで、大切な家族であるペットと、心あたたまる冬を迎えられますよ。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。