近年、高気密高断熱住宅が増えています。そんな高性能な家で、ゆらめく炎を眺めながら過ごす薪ストーブのある暮らしは憧れですよね。
しかし、快適さを追求した「高気密」という性能が、薪ストーブの安全性を脅かす隠れた落とし穴になることがあります。
その原因は、住宅の隙間の少なさから生じる「負圧(ふあつ)」です。
今回は、高気密高断熱住宅で薪ストーブを、安全かつ快適に楽しむためのポイントを解説します。
負圧とは
負圧とは、建物の室内(内部)の空気圧が、屋外(外部)の空気圧よりも低い状態を指す建築用語です。
空気には「圧力が高い方から低い方へ流れる」という性質があるため、外気が建物の隙間や給気口から室内へ向かって引き込まれようとする力が発生します。
高気密高断熱な住宅では、薪ストーブの煙が逆流してしないように対策が不可欠です。
外気導入型薪ストーブの採用
薪ストーブの機種選びが、高気密住宅での成否を分けます。
燃焼に必要な空気を、室内の空気からではなく、直接屋外から取り込む専用の給気口を持つ「外気導入型(密閉型)」のストーブを選定してください。
この方式により、キッチンや浴室の換気扇など、排気能力の強い設備を使用した際に室内に「負圧」が発生しても、ストーブが室内の空気を消費しないため、煙突からの煙の逆流を防ぐことができます。
設置の際は、ストーブの吸気口と、屋外を接続する給気ダクトを確保することが重要です。
換気システムの調整と注意
高気密住宅に義務付けられている24時間換気システムや、特に排気量の多いレンジフードは、室内の気圧を外気より低くする「負圧」の最大の原因となります。
薪ストーブの着火時や使用中は、極力、排気能力の強いレンジフードの使用を控えましょう。
もし頻繁に使用する必要がある場合は、室内の空気を取り込むのではなく、屋外から給気と同時に排気を行う「同時給排気型」のレンジフードの導入を検討してください。
また、24時間換気システム(特に排気のみの第三種換気)についても、薪ストーブの運転状況に応じて一時的に運転を調整するなど、工務店や設置業者と連携し、適切な運用方法を確認することが不可欠です。
一酸化炭素チェッカーで二重の安全対策
万が一、換気や排気経路に問題が生じ、有害な煙や排気が室内に漏れてしまった場合、気密性の高い住宅ではその物質が室外へ逃げにくいため、危険度が高くなります。
そのため、安全対策として「一酸化炭素チェッカー」の設置は必須。
薪ストーブのすぐ近くはもちろん、寝室など離れた場所にも複数台設置し、信頼性の高い、精度の確かな製品を選ぶようにしてください。
まとめ
高気密高断熱住宅に薪ストーブを設置する場合、最も大切なのは「家全体を負圧にしない設計」と「ストーブ本体の気密性」です。
夢の薪ストーブライフを実現するためには、建築計画の初期段階から、これらの専門的な知識と対策を講じましょう。
すでに建築済みの住宅に後付けで設置する場合は、外気導入経路や換気バランスの確保に制約が生じやすいため、必ず専門業者による現地調査と安全確認を行うことが重要です。
必ず高気密住宅での実績と知識を持つ専門の業者や工務店に相談し、外気導入の設計や換気システムとの連携について、綿密な打ち合わせを行ってください。
安全な設計と適切な運用によって、薪ストーブは高気密高断熱住宅の快適性をさらに高めてくれる、最高の暖房器具となるでしょう。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。
今年の夏も厳しい暑さが続き、なかなか秋を感じられませんでしたが、やっと朝晩がひんやりしはじめましたね。
冬が来る前の今こそ、薪ストーブのチェックをしておきたい時期です。
いざ寒くなってから慌てないように、この時期にメンテナンスや点検を済ませておくのがおすすめです。
今回は、安心して冬を迎えるためにやっておきたい5つのチェックポイントを紹介します。
【1】煙突と本体の掃除・点検
シーズン前に必ず行いたいのが、煙突とストーブ本体のメンテナンスです。
煙突の内側には「クレオソート」と呼ばれるタール状のススが付着します。放置すると煙突火災の原因になるため、年1回の掃除は必須。
昨シーズン後にまだ煙突掃除をしていない場合は、今のうちに掃除と点検を行いましょう。
自分で専用ブラシを使って清掃するか、業者に依頼するのも安心です。
あわせて、扉のパッキン(ガスケット)の劣化や、耐火レンガのヒビ、空気調整レバーの動作もチェック。
試し焚きの際に煙の逆流や異臭がないかも確認しておきましょう。
【2】薪の乾燥具合と保管場所をチェック
ストーブの性能を最大限に発揮するためには、薪の乾燥が何より大切です。
理想は含水率20%以下。乾いた薪は軽く、割れ目が入り、叩くと「コーン」と澄んだ音がします。
湿った薪は煙が多く、燃焼効率も悪いため、十分に乾燥しているか確認をしてください。
また、秋の長雨に備えて保管場所の見直しも重要です。雨よけの屋根と風通しを確保し、地面から浮かせて収納しましょう。
シーズン途中で薪が足りなくならないよう、早めに補充しておくと安心です。
【3】着火材と細薪の準備
朝晩だけ少し焚きたい時期は、すぐ火が起こせるよう準備を整えておきましょう。
新聞紙や乾燥した枝、着火剤を箱にまとめてストック。割りやすい細薪を多めに用意しておくと、短時間の焚き付けに便利です。
この時期は「試し焚き」をしながら、火の扱いを思い出すのにもぴったりです。
【4】安全対策を再確認
薪ストーブは火を扱うため、次のような安全対策の見直しも欠かせません。
・一酸化炭素警報器の電池残量チェック
・消火器の有効期限確認
・ストーブ周りの可燃物(カーテン、新聞紙など)を整理
・煙突の外壁部分の焦げや変色確認
このひと手間で、冬の安心度がぐっと高まります。
【5】試し焚きで「冬モード」へ
気温が下がりはじめる10月は、シーズン前の試し焚きに最適な時期。
実際に火を入れて、ドラフト(煙の引き)や扉の密閉具合を確認しておきましょう。
部屋の空気を軽く暖めることで、夏の湿気も抜けてすっきり。焚き火の香りとともに、秋の訪れを感じられる瞬間です。
まとめ
薪ストーブは、しっかり準備しておくことで本来の暖かさと心地よさを楽しめます。
煙突掃除・薪の確認・安全チェックの3点を基本に、秋のうちに少しずつ整えていきましょう。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。
薪ストーブの暖かさは、ペットにとっても格別なものです。
しかし、炎や高温の本体がすぐそばにあるため、思わぬ事故が起きる可能性も。
今回は、愛するペットを守るために、飼い主さんが特に気をつけたいポイントを解説します。
安全な距離の確保が最重要
薪ストーブの表面は、稼働中にはかなり高温になります。
好奇心旺盛なペットが近づいてしまうと、やけどの危険があるため、本体との間にしっかり距離をとる工夫が欠かせません。ペットがいる場合は特に徹底が必要です。
■安全柵
最も効果的なのは、安全柵(チャイルドフェンスやストーブガード)を設置することです。
金属製や木製などさまざまなタイプがありますが、できるだけ熱くなりにくい素材がおすすめ。
また、ペットが飛び越えたり鼻先を突っ込んだりできない高さ・構造のものを選びましょう。
フェンスは、ペットが手を伸ばしてもストーブに触れない十分な距離(最低でも30cm以上)を確保してください。
特に子犬や子猫は体温調節が未熟で、暖かい場所に寄っていきがちです。事故が起きる前に、安全ゾーンを作っておくことが重要です。
■逃げ道の確保
ストーブ周りに安全柵を設けて本体に近づけないようにしても、たとえば薪が爆ぜる音によって、ペットがパニックになることがあります。
ペットが逃げる際につまずいたり挟まれたりしないよう、周囲の家具配置にも配慮しましょう。
■お気に入りスペース
ペットが心地よく過ごせる工夫をしてあげると、薪ストーブのある暮らしはもっと快適になります。
たとえば、ストーブから1~2mほど離れた位置にベッドやマットを置くと、ペットが自然と「ここが自分の居場所」と認識し、ペットにとってお気に入りのスペースに。
火のぬくもりを感じながら安心できる場所があると、やけどのリスクも下がり、ペットにとっても居心地の良い空間になるでしょう。
ペットの習性に合わせて配慮
ペットの種類や性格によって、薪ストーブ周りで注意すべき行動が異なります。
■犬
炎に興奮して吠えたり、動き回ったり、尻尾を振って物にぶつけたりすることもあります。フェンスで物理的に距離を取るだけでなく、興奮しやすい子は、別の場所で遊ばせてからストーブに近づけるなどしましょう。
■猫
ストーブの上に飛び乗ろうとしたり、高温の炉台や天板で寝ようとしたりする可能性も。物理的なフェンスに加え、棚や高い足場からストーブに飛び移れない配置にしましょう。炉台に登れないように、あえて物を置くなどの工夫も有効です。
■小動物
小動物はストーブの熱気や乾燥の影響を受けやすいため、ケージをストーブから離れた場所に設置しましょう。
誤食に注意
ストーブ周りには、どうしても薪のかけら・灰・樹皮などの細かいくずが落ちがちです。犬や猫がそれらを口にしてしまうと、消化器のトラブルにつながる恐れがあります。
・薪を室内に置く際は専用ラックに収納する
・灰を捨てる際は密閉容器を使用し、すぐ処分する
・掃除をこまめに行い、床にくずを残さない
などといった基本を徹底することが大切です。
火の粉が残る可能性があるため、必ず金属製の密閉容器で管理し、ペットの手の届かない場所に保管してください。
煙と空気の管理
薪ストーブは正しく使えば安全ですが、燃焼が不完全な場合や換気が不十分な場合、一酸化炭素が発生するリスクがあります。体重の軽いペットは、人間よりも早く影響を受けてしまうことも。
ストーブを焚く際は、必ず適切なタイミングで換気を行いましょう。一酸化炭素警報器を、ペットの目線に近い低い位置に設置することも大切です。
また、乾燥しがちな室内環境もペットの皮膚や呼吸器に影響を与える場合があります。天板にケトルを置いたり、加湿器を併用したりして湿度を適度に保つことが大切です。
万が一に備えた「しつけ」の重要性
フェンスを乗り越える、いたずらをするなど、予測できない事態に備えて、しつけを行うことも飼い主の義務です。
■熱いものを理解させる
ストーブを焚く前に、「危ない」「ダメ」などのコマンド(指示)を教え、ストーブ周辺は立ち入り禁止エリアであることを徹底して理解させます。
■炎を落ち着いて見させる
炎に興味を持つことは自然ですが、落ち着いて見られるよう慣れさせることも大切です。静かに座っているときは褒めるなど、良い行動を強化しましょう。
特に初めて薪ストーブを使うときは、ペットもいつもと違う空気や音、においに敏感に反応します。最初の数回は、必ず一緒に様子を見守ることが大切です。
まとめ
薪ストーブは、ペットとの暮らしをよりあたたかく、豊かにしてくれる存在です。しかし、やけどや誤食、空気環境などに注意を払わなければ、思わぬトラブルを招くこともあります。
少しの手間を惜しまず、安全対策を行うことで、大切な家族であるペットと、心あたたまる冬を迎えられますよ。
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“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。
ショールームリニューアルにあわせキャンペーンを行います!
イギリス製charnwood社ストーブ、こちらを50%offにて販売させていただきます!
アイランドII-HL ¥286.000- → ¥143.000-(税別)
C-Seven blu ¥320.000- → ¥160.000-(税別)
ショールームにて実物をご覧いただけます。
各タイプ2台、計4台の限定となります。
数に限りがありますので、ご興味をお持ちの方は問い合わせフォームよりご連絡ください。
*ストーブのみの販売は行なっておりません、別途煙突、施工費が必要となります。
こちらもお問い合わせください。
9月は「防災月間」です。地震や台風、豪雨などの自然災害に備える意識が高まるこの時期、停電やガスの供給停止といったライフラインの途絶にどう対応するかが大きな課題となります。
そんな中で注目したいのが薪ストーブ。薪ストーブは、災害時、とても心強い防災アイテムです。
今回は、非常時に薪ストーブがどのように役立つのかをご紹介します。
災害時に薪ストーブが頼れる理由
薪ストーブがあれば、災害時、避難所ではなく、自宅にとどまりながら過ごすという選択肢が増えます。
■電気・ガスに依存しない暖房
薪ストーブの最大の特徴は、電気やガスに頼らずに稼働する点です。燃料は薪だけ。電気やガスを一切使わないため、ライフラインが途絶えた状況でも安定して暖かさを確保できます。家族やペットと一緒に温もりを分かち合える点は、非常に大きなメリットです。
■薪さえあれば熱源を確保できる安心感
ガスや灯油は供給が途絶えると手に入りにくいですが、薪はあらかじめ自宅で備蓄が可能です。乾燥薪を一定量ストックしておけば、長期間にわたり自給的に暮らすことができます。
■温かい食事やお湯が用意できる
ストーブの天板は調理台としても活躍します。お湯を沸かしたり、スープを温めたり、簡単な煮込み料理も可能。災害時には、レトルト食品を温めたり、湯を沸かしてインスタント食品を作ることも可能です。温かい食事は何よりも心の支えとなり、心身の安心につながるでしょう。
■照明として明るさも確保
薪が燃える炎は、部屋全体を明るくすることはできませんが、周囲をほんのりと照らしてくれます。不安な夜でも、揺れる炎の光は心を落ち着かせてくれるでしょう。
災害時に注意したいポイント
災害はいつやってくるかわかりません。だからこそ、普段から安全に使える状態を保つことが重要です。
■日常的なメンテナンス
煤やタールが溜まると火災の原因になるため、定期的な煙突掃除は日頃から欠かさないようにしましょう。
■燃料の確保
燃料となる薪や木材は、事前に十分な量を確保しておく必要があります。最低でも1シーズン分の薪を確保しておくと安心。新聞紙や市販の着火材、小枝などもセットで備えておくと安心です。
まとめ
薪ストーブは「趣味の暖房器具」と思われがちですが、実は災害時に心強い防災アイテムでもあります。
災害はいつ起こるかわかりません。いざという時に備え、電気やガスに頼らない暖房器具として薪ストーブを検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。
最近は少し暑さも和らいできましたね。
弊社ショールームも改修工事を行いました!
1階は薪ストーブ、2階ではペレットストーブをご覧いただけます。
実際に着火し実演も可能です!
薪ストーブに欠かせない「薪」。
ホームセンターや専門店で購入することもできますが、コスト面や楽しさを考えると、原木から自分で薪を作る「薪活(まきかつ)に挑戦してみたい!」という方も多いのではないでしょうか。
今回は、薪ストーブユーザーの憧れでもある「薪活」についてご紹介します。
薪活の魅力とは?
薪づくりは、単なる燃料調達ではなく、自然とつながり、季節を感じながら暮らしを豊かにしてくれるライフスタイルそのもの。時間も労力もかかる薪活ですが、それ以上に大きな魅力があります。
■圧倒的なコストパフォーマンス
購入する薪は意外と高価ですが、原木から作れば燃料代を大幅に節約できます。これが薪活を始める一番の動機になる方も多いです。
■最高のエンターテイメント
休日に自然の中で体を動かし、パカン!と薪が割れる爽快感は格別。家族や仲間との共同作業も、きっと楽しい思い出になるはず。運動にもなり、健康的な趣味になるのが薪活です。自分の手でつくった薪で火を囲むのは、最高のエンターテイメントですよ。
■木と炎への理解が深まる
木の種類による硬さや香りの違い、乾燥具合で炎がどう変わるのか。薪活を通じて、自然の恵みである「木」への感謝と理解が深まり、薪ストーブがもっと愛おしくなります。
薪活は少し手間がかかるものの、その分得られる満足感は格別です。
原木が「薪」になるまでの全工程
薪活は、大きく分けて4つのステップで進みます。
1.【入手】原木を手に入れる
2.【薪割り】ストーブに入る長さに切り、割る
3.【乾燥】じっくりと乾かす
4.【保管】雨の当たらない場所で保存する
この中でも特に重要なのが「乾燥」です。よく乾いた薪は、煙が少なく、暖房効率も良く、ストーブ本体や煙突を長持ちさせてくれます。
薪用の原木を入手する方法
原木は以下のようなルートで手に入れることができます。
■自治体や森林組合の配布・販売
間伐材や倒木を安価で分けてもらえることがあります。
■造園業者・工務店から譲ってもらう
伐採木や建築端材を譲ってもらえることがあります。
■薪販売業者から購入する
安定的に確保したい場合は安心。初めての人にはおすすめです。
薪割りの手順とコツ
まず薪割りの際は、必ず手袋、長袖長ズボン、安全靴(つま先に鉄板が入ったもの)を着用しましょう。斧が跳ね返ったり、木が飛んできたりすることから目を守る保護メガネも必須です。安全な服装で薪割りをしてください。
■安定した「薪割り台」を用意する
地面に直接置いて割ると、斧が地面に当たって刃こぼれしたり、足に当たったりして危険です。ご自身の膝くらいの高さで、太く安定した丸太を薪割り台として使いましょう。
■玉切りした原木を立てる
薪割り台の中央に、ぐらつかないようにしっかりと安定させて、玉切りをドンと置きます。中心を狙うのが基本ですが、もし小さなひび割れがあれば、そこを狙うと、驚くほどきれいに割ることができます。逆に、枝の付け根である硬い「節(ふし)」は避けましょう。
■斧は「振り下ろす」より「落とす」感覚で
力任せに振り回す必要はありません。斧の重さを利用して、薪の中心にまっすぐ落とすイメージで。大きすぎる薪はさらに細かく割り、使いやすいサイズにしましょう。大きすぎる薪はさらに細かく割り、使いやすいサイズに。
薪を乾燥させる方法と保管
割ったばかりの薪は水分を多く含んでおり、そのままでは燃えにくく煙も多く出てしまいます。この水分をじっくりと抜いてあげることが、良質な薪を作るための最大のポイント。
ポイントは「風通し」と「雨除け」です。
■薪棚(まきだな)を作る
割った薪は、風通しが良く、雨の当たらない場所に積み上げて保管します。地面に直接置くと湿気を吸ってしまうため、パレットなどを利用して地面から離しましょう。
■薪の積み方
薪と薪の間に隙間を作り、風が通り抜けるように積むのがコツです。壁にぴったりつけるのではなく、少し離して空気の通り道を作りましょう。シロアリやカビを防ぐため、直置きは避けてください。
■乾燥期間の目安
樹種や太さにもよりますが、ナラやクヌギなどの広葉樹で1年〜2年が目安です。薪活は数年後を見越した、気の長い趣味とも言えますね。
年度ごとに仕分けして、古い薪から使うようにしましょう。
まとめ
薪活は「薪を手に入れる → 割る → 乾かす → 使う」というシンプルな流れですが、そこに自然との関わりやDIYの楽しさが凝縮されています。
最初は大変に思えるかもしれませんが、自分で割った薪を燃やす達成感、炎を眺めながら過ごす心地よさなど、多くの価値を得られるのが大きな魅力です。
まずは少量から、できる範囲でチャレンジしてみてはいかがですか。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。
薪ストーブを検討している方の中には、「ペレットストーブ」も気になるという方もいるのではないでしょうか。
炎が揺らめく暖房器具として薪ストーブとペレットストーブの見た目はよく似ていますが、実はその使い方、燃料、設置方法、そして暮らしへの関わり方が大きく異なります。今回はその違いを解説します。
まずはざっくり比較
まずは「薪ストーブ」と「ペレットストーブ」の違いをざっくり比較してみましょう。
燃料の違い
薪ストーブは、その名の通り「薪」を燃料として燃焼させる暖房器具です。
薪を乾燥させたり、保管スペースを確保したりする必要がありますが、その分「薪を準備する楽しさ」があります。
薪を自分で調達できれば低コストですが、購入する場合はそれなりのランニングコストが必要です。
一方でペレットストーブは、木材を粉砕・圧縮して作られた「木質ペレット」が燃料です。
ペレットストーブは価格が安定していて比較的低コストですが、ファンや自動供給用モーターなど電気代がかかります。
袋入りで販売されているので、省スペースで燃料保管ができます。
煙突
薪ストーブの命とも言えるのが「煙突」だと、これまでのブログでもお伝えしてきました。薪ストーブは、高温の煙を効率的に排出するため、屋根を貫通させる煙突の取り付けが必須。ドラフトを安定させるため高さや断熱も重要です。
一方で煙が少ないペレットストーブは、小径の排気管で対応可能。壁からの横引き排気ができます。設置自由度が高く、施工も比較的簡単です。
着火方法と火力調整
薪ストーブの着火は手動で、火力は空気量を調整してコントロールします。慣れが必要ですが、火を育てる感覚が大きな魅力です。
一方でペレットストーブの多くの機種は、スイッチ一つで着火可能。自動で燃料を供給し、火力を調整してくれるため、初めてでも扱いやすいです。
雰囲気や暖まり方
薪ストーブは、炎の揺らめきや薪が爆ぜる音など、五感で楽しめるのが最大の特徴。輻射熱が体の芯まで届き、部屋全体を包み込むように暖めます。
ペレットストーブ炎は安定していて、燃焼効率も高いため短時間で暖まります。デザインも現代的で、都市部の住宅にもなじみやすいです。
メンテナンス
薪ストーブのメンテナンスは煙突掃除が中心。年1~2回の煙突掃除が欠かせません。
ペレットストーブメンテナンスは、燃焼部の掃除が中心。日常的な燃焼部の清掃と、定期的な排気系の点検が必要です。
そのほかの特徴
薪ストーブは電気を使わないため停電時も使用可能で、災害時の安心感があります。
ペレットストーブは自動で燃料供給・着火が可能で手間が少ないですが、電気がないと使えません。
まとめ
「薪ストーブ」と「ペレットストーブ」、どちらを選ぶにせよ、炎のある暮らしは日々の生活を豊かにしてくれます。
もし、ご自分のライフスタイルにどちらが合っているか迷われたら、ぜひ一度当店にご相談ください。皆様にぴったりのストーブを見つけるお手伝いをさせていただきます。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。
薪ストーブに欠かせない「薪」。
購入したり、自分で作ったりすると思いますが、薪ストーブの心地よい暖かさを実現するには、ストーブの性能だけでなく、「樹種」や「薪の質」が大切です。
木の種類によって、火のつきやすさ、燃焼の持続時間、煙やススの出方などが大きく変わります。
今回は、代表的な樹種の特徴と、選ぶ際のポイントをご紹介します。
薪の種類は大きく分けて2種類
ひとことで「薪」と言っても、「木」であれば何でも一緒ではありません。
薪は大きく分けて「針葉樹(柔らかい木)」と「広葉樹(硬い木)」の2種類に分けられます。
針葉樹は、その名のとおり葉っぱが細くて針みたいな形をしている木のこと。ほとんどが一年中葉っぱを落とさない“常緑樹”です。スギやヒノキがその代表ですね。
一方、広葉樹は葉っぱが手のひらのように広がっていて、秋になるとカラフルに紅葉してから落葉するものが多いです。
ただし「葉っぱが落ちる=広葉樹」とは限りません。木の種類によってはちょっと例外もあります。
「針葉樹」と「広葉樹」の違い
まずはざっくりと「針葉樹」と「広葉樹」の違いを紹介します。
針葉樹は、軽くて油分が多く、火がつきやすいのが特徴です。反面、燃焼が早くススが出やすいため、焚き付け用や短時間利用向き。価格も比較的安いです。
一方で広葉樹は、木の組織の密度が高いため、着火や火力を上げるのに時間がかかります。ゆっくり燃えるため、長時間じっくり暖を取るのに最適です。油分が少ないため、煙も出にくいですが、針葉樹に比べて価格は高め。
それぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けることで、薪ストーブの使い心地が大きく変わります。
焚き付けや補助に便利な「針葉樹」の特徴
■ スギ
建築材としても馴染み深いスギは、「着火材」として非常に優秀です。
軽くて火付きが早いですが、燃え尽きるのも早いスギは、油分が多く、煙やススが出やすいため、主燃料には不向きです。
最初の火付けには最適な樹種なので、細く割っておくと、点火時のストレスを大幅に減らしてくれます。
■ ヒノキ
木肌がきれいで香りも良く、焚き火や室内でも人気のある木。
着火性・火力が高く、焚き付けや短時間暖房に便利です。主燃料には向きませんが、すぐに暖を取りたい時に重宝します。
炎が明るく、燃えている姿が美しいのも特徴。針葉樹の中でも少し密度があるため、スギよりは長持ちします。
■ マツ
油分が非常に多く、燃やすと勢いよく炎が上がります。スギやヒノキに比べると、多少燃焼時間が長いです。
火力はありますが、煙とクレオソートが出やすいため、連続使用には注意してください。
キャンプなどでの爆発的な火力が魅力ですが、家庭用の薪ストーブでは“ほどほどに”がポイントです。
薪に適した「広葉樹」の特徴
■ ナラ
どんぐりの木として認知されているナラの木。
多くの薪ストーブユーザーが薪として利用している樹種です。
火持ち・火力ともに優れ、煙も少ないのが特徴。燃焼が安定していて、炎もきれい。薪として扱いやすく、初心者にもおすすめです。
乾燥させるには1年半〜2年程度が理想。少し重めですが、それが逆に「よく詰まった良い薪」の証拠です。
■ クヌギ
ナラと並ぶ高品質な薪、クヌギ。古くから炭材としても使われるだけあり、火の強さには定評があります。
高い火力と長い燃焼時間が魅力。薪がパチパチとはじける音も、とても心地いいです。
少しだけ重く、薪割りはやや硬めですが、燃やした時の性能は抜群です。
■ カシ
「重たい薪=良い薪」と言われる中でも、カシは別格の存在。「薪の王様」とも称されます。
非常に硬くてずっしり重く、火持ち・火力ともにトップクラス。
高温で長く燃える薪で、煙突温度も上がりやすく、炉内温度も安定します。
ただし、しっかり乾燥させないと煙が多くなるので注意してください。
硬くて割りにくいため、薪割りに体力が要る点が唯一の難点。上級者向けの薪とも言えます。
■ サクラ
見た目や香りに特徴があり、やわらかい雰囲気のある薪です。
火持ちは中程度ですが、燃やすと甘い香りがします。室内に置いておくとほんのり香りも楽しめるんですよ。
炎の立ち方もやさしく、美しく燃えます。薪割りが比較的しやすく、乾燥も早いです。
■ ケヤキ
見た目が美しく、街路樹や家具材としても人気のケヤキ。薪としても使えますが、少しクセがあります。
火力はしっかりありますが、火持ちはやや短め。火付きはあまり良くないですが、乾燥させれば使いやすくなります。
燃やすとパチパチ音がしたり、時々火花が飛ぶこともあるので注意してください。
乾燥させるのに時間がかかる(1年以上が目安)うえ、乾く前はかなり重たい薪です。
ただ、よく乾かせば火力もそこそこあり、炎もきれいなので、ナラやクヌギほどの人気はないものの、“あるなら使って損はない薪”といえます。
家具材として有名なだけあって、割った薪も木目がきれいで、保管していても見栄えが良いですよ。
まとめ
樹種によって燃え方も個性も異なる薪。ストーブの使い方や設置環境、求める暖かさによって最適な薪は変わってきます。
また、どんなに良い樹種の薪でも、しっかり乾燥していなければその性能は発揮されません。必ずよく乾燥させてから使用してください。
ハースクラフトでは、薪についても詳しくご説明しています。お気軽にご相談ください。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。
これまでのハースクラフトブログを読んで、「やっぱり薪ストーブっていいな」「我が家も薪ストーブを導入したい」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。(そうだと嬉しいです!)
薪ストーブのある暮らしは、何物にも代えがたい豊かさがあります。何気ない日常がとても愛おしく感じられる薪ストーブは、いまや私の人生に、なくてはならないものと言っても過言ではありません。
だからこそ、今回はあえて薪ストーブの『現実』をお伝えしたいと思います。
「現実」は「デメリット」ではありません。正しく理解し納得することが大切だと、私は思います。
余談ですが、ネットで「薪ストーブ 後悔」と検索しても、「後悔している」という記事はほとんど出てきません。実際に薪ストーブを取り付けた方は、「大変なこともあるけれど、それ以上に満足している」という感想が多いです。
私も、炎の癒しやじんわりと身体の芯から温まる心地よさ、そして火を囲む家族の団らんなど、薪ストーブが与えてくれるのは、単なる暖かさだけではなく、「暮らしの豊かさ」だと心から感じます。それほど薪ストーブは魅力的なもの。
このブログが、不安を「楽しみな覚悟」に変えるきっかけになれば嬉しいです。
現実1:初期費用がかかる
薪ストーブの初期費用は、決して安くはありません。
薪ストーブ本体の価格は、メーカーやグレードなどによってさまざまですが、ストーブ本体に加え、安全を確保するための煙突や設置場所などの工事には、それなりに費用がかかります。
しかし薪ストーブは、適切にメンテナンスを行うことで、何十年も使える暖房器具。初期費用はかかりますが、長く使い続けられることを考えれば、決して「高いだけ」のものではないはず。
初期費用は「薪ストーブ」という価値への投資です。
現実2:メンテナンス費用がかかる
薪ストーブは、定期的な煙突掃除やメンテナンスが必要です。
自分で行うこともできますが、特に高いところの作業である煙突掃除は、ややハードルが高め。費用はかかりますが、専門業者に依頼したほうがベターです。もちろんハースクラフトでも、しっかりメンテナンスサポートさせていただきます。
現実3:薪の確保と管理が必要
薪ストーブを使うには大量の薪が必要です。これが一番ネックに感じる人が多いかもしれません。
近年はキャンプブームもあり、薪はホームセンターなどで簡単に手に入るようになりました。しかしやはり割高感は否めません。かなりのコストがかかります。
山の多い地域であれば、森林組合やご近所の方から、安価または無料で原木を譲ってもらえることもあるでしょう。
自分で薪を作れば、コストはほとんどかかりません。週末に体を動かすアクティビティとして、家族との共同作業として、薪作りそのものを楽しむオーナー様も多いです。自分で割った薪が燃えるのを見るのは格別。
ただし多くの時間と労力、そして薪を乾燥させるための保管場所(薪棚)が必要なことも忘れずに。
最初から全てを完璧にやろうとせず、まずは購入した薪からスタートし、少しずつ薪作りに挑戦するといいかもしれませんね。
現実4:毎日の着火や掃除が必要
薪ストーブは、スイッチ一つの手軽さはありません。毎日の着火、火力調整、灰の片付けが必要。
しかしこの一手間こそが、暮らしにリズムを生み、火への愛着を育みます。エアコンにはない「火を育てる」という感覚は、薪ストーブならではの醍醐味です。
ちなみに溜まった灰は、アルカリ性の性質を活かして家庭菜園の肥料や、山菜のアク抜きに使えるなど、サステナブルな活用もできます。
現実5:暖まるまで時間がかかる
薪ストーブは、火をつけてからお部屋全体が暖まるまでに時間がかかります。
特に寒い冬の朝などは、他の暖房器具との併用を検討する必要があるかもしれません。
しかし暖まったあとの暖房効率は非常に優れていて、何物にも代えがたい癒しの暖かさを楽しむことができます。
まとめ
薪ストーブには、手間やコストなどがかかります。決して安い買い物でもなく、手軽な暖房器具でもありません。
しかし炎と暮らす贅沢は、簡単ではないからこそ、深い満足感を与えてくれるのではないでしょうか。
私たちハースクラフトは、薪ストーブという『モノ』を売るだけでなく、薪ストーブのある『豊かな暮らし』の実現をサポートするパートナーでありたいと考えています。
疑問や不安などがあれば、お気軽にお尋ねください。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。