前回は、薪ストーブの魅力についてお伝えした「ハースクラフトブログ」。
薪ストーブの素晴らしさが、少しでも皆さんに伝わっていたら嬉しく思います。
さて今回は、「我が家にも薪ストーブって設置できるの?」と疑問に思っている方へ、設置できる家・できない家についてお伝えします。
薪ストーブの設置には、建物の構造や環境、法的な条件など、さまざまな要素が関係しますが、一戸建て住宅であれば、多くの場合で設置が可能です。新築でなくても、後付けで設置することもできます。
そこで今回は、薪ストーブが設置できる家・できない家のポイントをご紹介します。
薪ストーブが設置できる家
薪ストーブの設置には、いくつかクリアすべき条件があります。主なポイントは以下のとおりです。
1.煙突が通せる
薪ストーブに不可欠なのが「煙突」。
煙を外へ安全に逃がすため、屋根を貫通させる工事が基本となります。そのため、天井裏や屋根構造が複雑な家や、屋上が居住スペースになっている住宅などは制約が出る可能性があります。
屋根を貫通させられない場合は、煙突を壁から出す「壁出し(横引き)」の設置も可能ですが、煙突のドラフト(上昇気流)が弱くなりやすかったり、ススがたまりやすかったりします。
2.耐火性のあるスペースの確保
薪ストーブ本体は高温になるため、周囲に不燃材を使った「炉台(床)」や「炉壁(背面・側面)」を設置する必要があります。つまり、安全に設置するためには、ある程度のスペースを確保することが大切。
また薪ストーブ本体から壁や家具との適切な距離を確保できる十分なスペースがあるかも、設置の可否を左右する大切なポイントです。
3.木造でもOK
「うちは木造だから無理では?」という質問をよくいただきますが、木造住宅でも防火処理を施せば問題なく設置することができます。
木造住宅だからといって薪ストーブを諦める必要はありません。防火処理や適切な断熱施工により、多くの木造住宅で問題なく使用されています。
4.換気・通気性の確保
薪ストーブは燃焼時に多くの空気を必要とするため、特に気密性の高い住宅では室内に新鮮な空気を取り入れるための「給気口」を設けられるかもポイントです。
ストーブで暖めた空気を効率よく家全体に循環させるには、吹き抜けを利用した上下の通気や、サーキュレーター・天井ファンなどによる空気の流れの工夫ができると、より快適な暖房効果が得られます。
5.地域ごとの規制や周辺環境に対応
薪ストーブの使用には、地域による制限や周囲の住環境への配慮も欠かせません。
防火地域や準防火地域では、煙突やストーブ本体に関して法令で定められた基準を満たす必要があり、行政の許可が必要になることもあります。
薪ストーブの設置が難しい家
薪ストーブは非常に魅力的な暖房設備ですが、残念ながらすべての家に設置できるわけではありません。
以下のような条件があると、設置が難しかったり、追加の工事や許可が必要になったりするケースがあります。
1.煙突の設置が困難な構造の家
薪ストーブにとって煙突は不可欠な設備です。しかし集合住宅(マンションやアパート)では、その多くが共用部分である外壁や屋根の改修が認められておらず、煙突を外に出すことができないため、現実的には設置が難しいケースがほとんどです。
また屋根そのものに穴を開けられない構造や制限がある住宅は、「壁出し」と呼ばれる煙突を横方向に外へ出す方法もありますが、場合によっては壁出しができないことも。
さらに住宅が密集した地域では、煙突からの排煙トラブルにつながることもあるため注意が必要です。
2.防火・耐熱対策が取りづらい住宅
薪ストーブは高温になるため、設置場所には防火・耐熱対策を十分に施す必要がありますが、たとえば、古い木造住宅などで床や壁を不燃仕様に改修することが難しい場合や、内装制限がある建物ではそもそも不燃材の使用が難しいことも。
また、軽量鉄骨造やプレハブ系の住宅では、天井や床に特殊な素材が使われていることがあり、煙突が通せなかったり、必要な断熱材が施工できないなど、構造上の問題が発生することがあります。
追加の耐火施工によって設置が可能になる場合もありますが、その場合は費用が高くなる傾向にあります。
3.狭小住宅や間取りに制限のある家
薪ストーブは、ただ「置ければよい」というものではなく、周囲との距離や薪の搬入経路、日常の動線まで含めて考慮する必要があります。特に都市部に多い狭小住宅や、スペースに余裕のない家では、設置場所の確保そのものが難しいケースがあります。
また「薪の確保と保管」という日常的な作業があることも忘れてはいけません。
「薪ストーブを設置できるかどうか」は本体のスペースだけでなく、薪の運用やメンテナンスを含めた動線まで含めて考える必要があります。
4.気密性が高すぎて給気が不十分な家
近年の住宅は気密性・断熱性が非常に高くなっています。一見すると良いことばかりのように思えるこの高気密住宅ですが、薪ストーブにとっては思わぬ障害になることがあります。
大量の酸素が必要な薪ストーブは、建物に給気口を設けることが必要です。しかし構造上や意匠上の理由で給気口を設けることができない家や、そもそもその施工に大きな手間や費用がかかる家では、設置自体を断念せざるを得ないこともあります。
5.地域的な制限や法規制のあるエリア
薪ストーブの設置には、住宅そのものの条件だけでなく、地域ごとの条例や防火規制にも大きく左右されます。防火地域や準防火地域、あるいは景観地区などでは、煙突の形状や高さ、施工方法について厳しい制限があり、専門の設計と役所の許可が必要になることも。
とくに都市部や住宅密集地では、排煙による近隣トラブルが発生しやすいため注意が必要です。
まとめ
薪ストーブの設置には「家の構造」「生活動線」「地域の規制」など、さまざまな要素を総合的に考慮する必要があります。
しかし思っている以上に多くの戸建住宅で、薪ストーブは設置可能です。
「うちは無理かな」と思っても、条件を満たすための工夫や専門的な対応で実現できるケースもありますので、まずはハースクラフトまでお気軽にご相談ください。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。
こんにちは。
前回は「そもそも薪ストーブって何?」というお話しをお伝えしました。
薪ストーブは、”薪を燃やす”というシンプルな発想の中に、空気の取り入れ方や熱の伝え方、煙突による自然な気流などたくさんの知恵が詰まった暖房器具ということをおわかりいただけたのではないでしょうか。
さて今回は、薪ストーブの”魅力”についてご紹介していきます。
私自身、薪ストーブと出会ってからというもの、ただ「部屋が暖かくなる」というだけではない心地よさに魅了されてきました。
「火を見るって、こんなに癒されるんだな」
「薪をくべる時間も好き」
そんな風に、毎日の暮らしの中に小さな喜びが生まれるのが、薪ストーブの魅力です。
今回は、私が思う「薪ストーブの5つの魅力」についてご紹介します。
1.炎を眺める時間は特別なリラックスタイム
薪ストーブの火って、ただ明るく燃えているだけじゃないんです。パチパチとはぜる音、赤くなった薪、ゆらゆらと揺れる炎……。ずっと見ていられるほど、飽きない美しさがあります。
「1/fゆらぎ」って言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、炎の動きにはその癒しのリズムがあると言われています。
疲れて帰ってきた夜も、ストーブの前に座るととてもリラックスできるんです。
2.輻射熱で身体の芯まで暖まる
薪ストーブは、空気だけでなく、壁や床、家具などもじんわりと暖めてくれます。
これは「赤外線(遠赤外線)」による「輻射熱(ふくしゃねつ)」のおかげ。まるで陽だまりにいるような、やわらかい暖かさです。
3.薪ストーブでは料理も楽しめる
薪ストーブの上は、立派なコンロ。やかんを置いてお湯を沸かすのは定番ですが、シチューを煮込んだり、コトコト煮物を作ったり。
またピザや焼き芋、鶏の丸焼きなどの焼き料理も大得意。
メイン料理からちょっとしたおつまみ、パンやお菓子など、工夫次第でいろいろな料理を楽しめちゃいます。
4.薪の準備も楽しい作業
「薪を運んだり、くべたりするのって大変そう…」という声もよく聞きます。
たしかに、電源ボタン一つで暖かくなる家電に比べれば手間はあるでしょう。でもこれが案外いい運動になったり、気分転換になったりするんです。
薪を準備する作業を「面倒」ではなく「季節の習慣」として楽しめたら、薪を準備する作業こそが、豊かな時間と感じられるはず。
5.災害時は頼れる存在に
薪ストーブは電気を使わないので、停電しても使えます。部屋も暖まるし料理もできる。
寒い冬に万が一の災害が起こったとき、「薪ストーブ」は暮らしを支えるインフラとして、心強い存在になってくれるはずです。
まとめ
薪ストーブは、「暖房器具」という言葉ではとても収まりきらない魅力を持っています。
たしかにちょっと手間がかかるけれど、その分だけ季節の移ろいや、日々の時間を丁寧に感じることができるのが薪ストーブです。きっと生活をより豊かにしてくれますよ。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする佐藤です。
はじめまして。
このたびブログを担当することになりました佐藤と申します。
薪ストーブがちょっと気になっているという方から、沼にハマっている方まで、多くの方に楽しんでいただけるブログにしていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします!
まずは少し自己紹介をさせてください。
私は、自然に囲まれた長野県で生まれ育ちました。
実家でも薪ストーブを使っていて、あの独特のぬくもりや、パチパチと薪が燃える音が冬の記憶に深く残っています。
前職は地元の出版社に勤めていました。今後はハースクラフトでブログを中心に担当してまいります。
とはいえ「すごく詳しい専門家」というよりは、「ちょっと詳しい一般人代表」という感じです。前職で広報も担当していた経験をいかし、皆さんと同じ目線で薪ストーブの魅力をお伝えできたらと思っています。
趣味はコーヒー、そして愛犬とのお散歩。
ストーブの前で、愛犬とまったりしながらコーヒーを楽しむ時間が、私の一番のリラックスタイムです。
このブログを通して“薪ストーブのある暮らし”の魅力を、少しずつお届けできたら嬉しいです。
ということで初回の今回は、基本のキ、「そもそも薪ストーブって何?」というところからお話ししていきたいと思います。
薪ストーブとは?
ひとことでいうと「薪を燃やして室内を暖める暖房器具」です。
本体が鋳物や鋼板でできた箱型の本体の中で薪を燃焼し、本体自体が熱を放射して、空間をじんわり温めてくれます。
よく薪ストーブと間違えられるのが「暖炉」です。
薪ストーブは密閉された箱型なのに対し、暖炉は開口部が広いオープン型。サンタクロースが落ちてくるのが暖炉です(笑)。暖炉は多くの熱が煙突から逃げてしまうため熱効率が低く、火の粉や煙も室内に出やすい。
一方で、薪ストーブは扉で火を閉じ込められるので安全性も高く、熱を逃がさず効率よく部屋を暖めることができます。
左が薪ストーブ、右が暖炉イメージ
薪ストーブの仕組み
薪ストーブはその名の通り、薪を燃やして熱を生み出す暖房器具。
でも、ただ薪を燃やすだけじゃないんです。
空気の流れをうまくコントロールして、燃焼効率をグッと高める、とても理にかなった仕組みで暖めてくれるんですよ。
一次燃焼
薪に火がつくと、まずは「一次燃焼」が始まります。
薪が燃えて高温の炎が出ると同時に、煙(=燃え残ったガス)も発生します。
二次燃焼
ストーブ内部には、高温の空気が送り込まれる通路(エアダクト)があります。
この高温の空気が、煙の中に含まれる燃え残りのガスに当たることで、再び火がつく=二次燃焼が起こるんです。
つまり、薪だけでなく、煙の中の燃え残ったガスも燃料として再利用できるのが、薪ストーブのスゴイところ!
二次燃焼が生み出すメリット
・薪をムダなく使えて、経済的
・煙が少なくて、環境にもやさしい
・少ない薪でもしっかり暖かい、高い熱効率
煙突の役割も大事!
薪ストーブに欠かせないのが煙突です。
煙突があることで、燃焼で発生した煙やガスを屋外に排出できるだけでなく、煙突内の上昇気流(ドラフト)により、ストーブ内に自然と空気が引き込まれ、安定した燃焼を保つことができます。
逆に、煙突の設計が悪いと燃えにくくなったり、室内に煙が戻ってきたりすることも。だからこそ、薪ストーブや煙突の取り付けはプロの腕の見せどころです。
薪ストーブは、「薪を燃やす」というシンプルな発想の中に、空気の取り入れ方、熱の伝え方、煙突による自然な気流といった、たくさんの知恵が詰まった暖房器具です。
この仕組みを知ると、ストーブの炎がまた違って見えてくるかもしれませんね。
薪ストーブについて、もっと知りたい方やご検討中の方は、お気軽に「ハースクラフト」へお問い合わせください。
この記事を書いたのは…
“薪ストーブのある暮らし”の魅力をお届けする、薪ストーブにちょっと詳しい一般人代表・ハースクラフト担当 佐藤美月
大阪にあるこども園にてオーダーメイド暖炉の施工を行いました。
2台のうち1台は隣りの部屋からも炎を眺めることができるよう背面に扉がついています。
もう1台は両側の家具の上にパイプオルガンのパイプをディスプレイとして展示してあります。
大変な作業でしたがお客様にもお喜びいただける仕上がりになりました。
今後も更にいい暖炉が製作できるよう精進してまいります!
しばらくぶりのブログです。
今までの施工例をご紹介させていただきます。
現在お住まいのお宅に薪ストーブ取り付けをいたしました。
2階のリビングにRAIS Q-TEEを設置し煙突は壁を貫通し外部に出ています。
ストーブは弊社で使用していた展示品、本来は下の薪置きが無いタイプなのですが別途製作し取り付けしています。
塗装も含めきれいに仕上がりました。
多忙のためしばらく更新が滞ってしまいました、再開いたします!
大阪府S様のお宅に取り扱い説明にお伺いいたしました。
ストーブは定番のピキャンオーブンです。
背面の防熱プレートもストーブのサイズに合わせ製作させていただきました。
今週から寒くなりますが薪ストーブに薪を焚べ心も身体も温まってください!
兵庫県のN様この度は薪、ペレット兼用ストーブの設置工事をご依頼いただきありがとうございました。
ストーブはクラフトマン。
煙の出にくいペレットを中心にご使用されます。
薪の場合、乾燥したものを購入されるとすぐ使えますが、乾燥していない場合は薪棚に積み上げ1〜2年の乾燥が必要となります。
ペレットは薪に比べ年間を通じ安定して入手でき、保管もしやすい燃料です。
薪、ペレット兼用ストーブは薪を燃やす愉しさと手軽なペレットの両方を満喫できるストーブです。
奈良県のU様、この度はペレットストーブ設置工事をご依頼いただきありがとうございます。
ストーブはシモタニMay、上段のオーブンで調理が可能です。
オプションでサイドにホットプレートを取り付けるとお鍋の保温もできます。
ストーブ本体の質感も高く高級感もありお勧めの1台です。
兵庫県のA様より暖炉の改修工事ご依頼いただきました。
扉のないオープンタイプの暖炉を使用されており、度々煙が室内に逆流していました。
ガラス扉を取り付けされたのですが効果無くこの度の改修工事となりました。
改修工事では暖房効果を高めるため上部カウンターの開口を広げパンチングメタルを取り付けました。
あわせて外部の煙突も排煙効果を高めるべく延長しています。
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レンガと暖炉との間に隙間ができましたが同色のスチールプレートを製作しうまく納まっています。
香川県A様邸の薪ストーブ設置させていただきました。
A様、ご依頼いただきありがとうございました。
杉の香りのする贅沢な平屋建て、床の大谷石もセンスよくまとめられております。
壁にはストーブボードを取り付けました。